たかべーの書庫

ラノベの読書記録。

ネルリ語録 初級編

全世界推定数千万人のネルリストを熱狂の渦に叩き込んだと思われる石川博品先生の傑作ライトノベル耳刈ネルリ』三部作から、気に入ったフレーズをいくつか抜き出してみました。
引用する際には読みやすいように改行した箇所があります。ちなみにタイトルはネルリ語録となっていますが、レイチや他の登場人物の台詞も普通にあります、というかその方が多い。
なお、耳刈ネルリシリーズを未読の方にとっては、ネタバレ以前に何が面白いのかもわからないかもしれないので、今すぐ本屋で買ってくればいいと思います!↓↓↓
耳刈ネルリ御入学万歳万歳万々歳 耳刈ネルリと奪われた七人の花婿 耳刈ネルリと十一人の一年十一組Amazonじゃ一巻と三巻の在庫がなくなってました……。

全ては耳刈ネルリから始まった

全ては耳刈ネルリから始まった。
2巻 5ページより

作中作の一節ですが、のちの世で石川先生が語られるときはこのフレーズとともに語られることになるでしょう。なるよね? なるといいなぁ……。

ナラー

「ナラー」
1巻 26ページより

シャーリック語の感嘆詞。笑い、悲しみ、怒りなど作中の様々な場面で用いられています。
使用例:「石川先生の新作発売決定!」「ナラー!」

野ション

「ネルリ殿下はどちらにおいでかな?」
 とたずねてくる文化英雄に、はい、おしっこです! と元気に答えようとした僕の機先を制してナナイが、鹿を狩りに、みやびやかな隠語でごまかした。
2巻 165ページより

「おや、ベレンデーイが鳴くよ」
1巻 32ページより

ネルリといえば野ション、野ションといえばネルリなわけですが、それに関連した引用を二つ。
なお、ベレンデーイとはシャーリックに生息する小型の鹿で、催したときに、狩りにいったり鳴き声を聞きにいったりすると言ってごまかすのに使われます。雉打ちやお花摘み的な用法ですね。
使用例:「ちょっとネルリといっしょに鹿狩りしてくる!」

ネルリスラング

ももんがーのなづけおや!
2巻 19ページより

めぎつねのむこうずね!
2巻 33ページより

ごまのはえのさかえ!
2巻 129ページより

ぼろぼろのむらひも!
3巻 21ページより

もぐらもちのすえのこ!
3巻 198ページより

シャーリックの故事か何かだと思われる罵倒語。全部ひらがなで表記されています。状況によって用いる台詞を変えるのかは不明。
作中に登場するものは全部抜きだしたつもりですが、抜けがあったら教えてください。
(12/22追記 「もぐらもちのすえのこ!」が抜けていると情報をいただいたので追加)
使用例:「ネルリの短編集が出るよ。ウソだけど」「ごまのはえのさかえ!」

パンチラ

ひとつ、パンチラは平等である、
ひとつ、パンチラは人間に危害を加えてはならない
1巻 43ページより

わかりやすいようにパンチラでたとえると、委員会というのはパンチラをほしいままに送風機を設置する集団で、それ以外の人たちは「偶然チラリと見えたらラッキー」くらいに考えてのうのうと暮らしている。僕は故郷の草原に独り寝転がって空を見上げ、戦争で傷付いた体と心を癒しながら、ああ、この雲が全部パンツだったらな――そう思える男になりたい。
1巻 98ページより

「(パンチラを隠蔽する毛糸のパンツ着用を)許すな!」
1巻 191ページより

『パンツを見たければスカートはめくるな』
1巻 290ページより

 僕は両手でパンツをグイッと引きのばし、天にかざした。
 満月に照らされて、パンツはほのかな光沢を帯びた。月には、藤色のパンツがよく似合う。
3巻 100ページより

 パンツ泥棒→パンツドロ→パンツというあだ名の変遷を経験した人ならわかると思うが、その名が人間的なものから物質的なものへ移りかわっていく過程において、あだ名を付与される対象の人間性もまた失われていく。
 ヴェーラの件があって以来、僕はあらゆる人からパンツ呼ばわりされた。
 スクールカーストの最底辺のさらに地下深く――そこに「パンツ」というかくされた階級が存在していたなどと誰が予想しえただろう。ある意味では世紀の発見と呼ぶべきものであったが、それを祝福してくれる人はいなかった。
 いくらパンツパンツとあだ名されようと「パンツ=レイチ」すなわちパンツのかわりに僕をはいてみようという発想が女子たちから出てこなかったのは極めて遺憾だった。いきとしいける全ての女子がこぞって僕をはく、汎レイチ主義的社会は僕の心の中にしか存在しなかった。
3巻 116ページより

最初の引用はパンチラ三原則のその二まで。三原則の早急な確立が望まれていたはずですが、作中では最後の原則が明かされることなく完結してしまいました。
実はこの記事を書くために一巻から読み返したのですが、レイチは「パンチラのことばかり考えてる変態」ではありませんでした。正しくは、「一巻ではパンチラのことばかり考えてる変態」でした。ネルリシリーズにおいては地の文の大部分がレイチの妄想に費やされているのですが、パンチラばかり考えてたのは一巻だけでした。もしかしたら一巻が一番読みにくいといわれる所以はパンチラにあるのかもしれません。まあ二巻三巻でも変態妄想ばっかなんだけどな!
二巻は特に何かに執着している様子はありませんでしたが、三巻ではパンチラのそのさきに目覚めたところを引用してみました。レイチ=パンツとか冷静になって傍から見ればいじめそのものですが、レイチフィルターを通して見るとギャグのネタにしか見えない不思議!
個人的に好きなフレーズは「月には、藤色のパンツがよく似合う。」です。月とパンツという本来関わりがなさそうな物の中に調和を見出すレイチの感性は素晴らしいといえるでしょう何を言ってるんだ私は。

農業・園芸

まあ、高度に発達した農学は魔法と区別がつかないっていうしな。
1巻 116ページより

農芸隊には畑や温室に毎日インしなければ禁断症状を起こす農芸廃人も数人いたので、
2巻 298ページより

 だが、やがてそれにも飽きて、いつもの「自分だけの庭があったらどうレイアウトするか(予算・気候は自由)」という気持ちいい妄想ディスカッションを始めた。
 それぞれが異なった理想を持っていた。彼らは春厨、秋厨、熱帯厨、ワイルド厨(採集個体しか認めないという立場)、ウンコ(別名:有機肥料厨)などに分類されるチューチューロケット団だった。
 珍しくネルリがその農芸バカサミットに列席していた。ムツカシイ顔して座っているので、農業の素養が根本的に欠けている彼女のことだから、「焼き払え!」と焼畑厨(「ド素人」とほぼ同義)丸出しの暴言を吐くのではないか、と僕はハラハラしながら見守っていた。
3巻 72〜73ページより

「これから半年雪の中だ。うんざりしますね」
「そうかい? 雪に埋まりながら熱帯の植物を育てる、そんな現実離れした営みこそが農業の本質だよ」
3巻 132ページより

他クラスの女子とか男子とか女子とかにはゴミムシ扱いされるレイチが他人に誇れそうな唯一の取り柄が農業・園芸ネタ。その中から気に入った箇所を4つほど抜き出しました。
クラークの三法則、ネトゲ廃人チューチューロケットナウシカなど、レイチの妄想の中には現実世界のものが元ネタになっている表現が大量にあるので、元ネタ探しをするのもネルリシリーズの楽しみ方のひとつになります。
なお、レイチ自身は農業より園芸派です。普通のラノベなら花を育てるのが趣味なインドア主人公だったのに、どうして石原先生は一人称視点で書いてしまったのか。でも妄想垂れ流してないレイチなんてレイチじゃないよね。次回作の主人公も妄想垂れ流さないかなあ。垂れ流さないかなあ。

次回作

長かった闘いよサラバ! 次回作『レイ★ちら』ご期待ください!
1巻 234ページより

石川先生…!! 新作が読みたいです……


本日はここまで。
タイトルには初級編と書きましたが、続編があるかは大ネルリのみぞ知る。
記事書いておいてなんですが、パロディとか私一人で全部わからないので、ネルリ元ネタwikiとか作れば良かったんじゃないかなと今さらながら思い始めました。更新する人が私のほかにいるかは別として。
今回語録作るために一通り読み返しましたが、再読しても読むのがとても楽しく、これまで気付かなかった新しい発見もいくつかあって幸せでした。この記事を読んで面白いと思った方は自分だけのネルリ語録を作ってみてはいかがでしょうか。ナラー。