2012年の読書まとめ
2012年に新しく読んだ本は387冊、うちラノベじゃない物は8冊でした。一日一冊のペース以上という目標は達成できました。
レーベル別の内訳は、以下の通りになりました。去年は電撃はあまり買ってなかった記憶があったので、この結果は若干意外でした。反対にファミ通は思った以上に読んでて驚きました。また、最近はこのラノ文庫に注目してるので今年も期待したいと思ってます。
電撃文庫 | 59冊 |
ファミ通文庫 | 50冊 |
富士見ファンタジア文庫 | 36冊 |
角川スニーカー文庫 | 29冊 |
ガガガ文庫 | 27冊 |
MF文庫J | 27冊 |
スーパーダッシュ文庫 | 25冊 |
HJ文庫 | 24冊 |
このライトノベルがすごい!文庫 | 17冊 |
講談社ラノベ文庫 | 11冊 |
メディアワークス文庫 | 10冊 |
GA文庫 | 9冊 |
一迅社文庫 | 9冊 |
星海社FICTIONS | 6冊 |
ヒーロー文庫 | 4冊 |
スマッシュ文庫 | 4冊 |
その他 | 40冊 |
379冊のラノベのうち、2012年に出た本は283冊でした。
それでは例年の如く数の制限はあまり考えずに、良かったものを挙げていきたいと思います。明確な順位付けはないです。
2012年刊行作品31選
遠藤浅蜊「魔法少女育成計画」(このライトノベルがすごい!文庫)
魔法少女16人が一堂に会して戦う、私がこれまで読んだこのラノ文庫での最高傑作。
魔法少女まどか☆マギカやバトル・ロワイアルや甲賀忍法帖が好きな人にオススメな、知恵と力と友情の魔法少女ラノベだよ☆ 続編のrestartも可愛い魔法少女が登場するので是非一緒に読んでみてね☆
このラノ文庫の未来を担う一角となるコンテンツだと思うのでこれからもよろしくお願いします!
秋目人「乙女ゲーの攻略対象になりました…。」(電撃文庫)
死亡ルートが満載の乙女ゲー世界に飛ばされてしまった主人公が、本来のゲームの主人公であるヒロインに攻略されることを回避しようと奮闘するお話です。
ヒロインのライバル達がいいキャラで、特にレベル五の美声を持つ法条さんがお気に入りです。あと騎士プとだけ書かれた手紙が送られてくるイベントがあるのですが、これが何故かすごく癒されます。
小木君人「森の魔獣に花束を」(ガガガ文庫)
お家騒動で大森林の奥に行くことになってしまった主人公が、人喰い魔獣に捕まり一緒に生活することになります。
人喰い魔獣のロザリーヌちゃんと彼女の意識に語りかけるホンノーちゃんが、食べられたいくらい可愛い!
全体を流れる童話的な雰囲気もとても良かったです。
かじいたかし「僕の妹は漢字が読める 5」(HJ文庫)
読めば、あまりにぶっ飛んだ1巻のおかげで敬遠していった方々への優越感を拭いきれない、そんな最終巻。
漢字が衰退した23世紀の日本という一見ふざけたようでいて結構奥深い世界観と、ダブルヒロインの可愛さが合わさって最高。これからも作者にしか書けない物語を書いていってもらいたいです。
天から螺旋状に舞い降りるパンストに神々しさを感じられるのは僕の妹は漢字が読めるだけ!
森橋ビンゴ「東雲侑子は全ての小説をあいしつづける」(ファミ通文庫)
祝・完結。距離感と雰囲気が素晴らしい恋愛小説。偶然小説家であることを知ってしまったクラスメイトとの交流。
ヒロインどころか主人公まで可愛いのでもう胸がキュンキュンですよ。幸せ御馳走様でした!
普段ラノベを読まない人にもオススメです。
野粼まど「2」(メディアワークス文庫)
脳内で開催された2012年このライトノベルがやばい!大賞受賞作品。
野粼まど先生の凄さは処女作のアムリタを読めばよくわかるのですが、これまでを5作品をもとに集大成として書かれたのが2です。話としては最高の映画を作れる天才が最高の映画を作るストーリーなんですが、最高とは何か、一番面白いとは何かが作者の中で追究されてぶっ飛んだ仕上がりになってしまいました。
しかも一番凄いところは、これで終わると思っているのかい?と作者が語りかけてきているところでしょう。
渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 6」(ガガガ文庫)
俺ガイルはぼっちをこじらせた主人公八幡が奉仕部に入らされて強制的に人助けをさせられるお話です。
6巻は八幡がぼっちの本領を発揮する文化祭編。これ以上ないほど鮮やかに事件を解決しているのに、誰もが幸せになったわけではないという構成の妙。
中盤ヒロインの雪ノ下さんが「却っ下」と言うシーンがあるのですが、そこに至るまでの10行ほどの描写が読んでいると多幸感に包まれるほど素晴らしくて何度も読み返してしまいました。
村上凛「おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! 3」(富士見ファンタジア文庫)
オタリアは隠れオタとギャルがお互いの恋を協力しあう青春物です。外枠は竹宮ゆゆこ先生のとらドラ!に似ていますが、あくまでも外枠だけで作中に流れる雰囲気は別物です。
一つ上で紹介した俺ガイルと同じくぼっち描写に定評があるのですが、俺がぼっち描写で読者の心を掴みにくるのに対して、オタリアは読者の心臓を握り潰しにきます。特定の過去を持つ人間は「やめろ、それ以上俺のトラウマを呼び起こすな!」と思うこと必至です。
林トモアキ「レイセン File4:サマーウォー」(角川スニーカー文庫)
私的2012年林トモアキ大賞。
とりあえず、未だ戦闘城塞マスラヲ全五巻を読んでない人は、今すぐ本屋に行って買ってきて読んでください。私の人生で読んだラノベで最高傑作クラスなので! このレイセンはその続編です。
何気ない描写の端々にヒデオが本当に皆に愛されてるなと思わされて思わずホロリときてしまいました。
林トモアキ「ミスマルカ興国物語 エックス」 (角川スニーカー文庫)
林トモアキならこれも挙げねばなりません。
過去作で大活躍したあのキャラが登場した10巻、自由の戦士ゼンラーマンの生き様を描いたエックス、どちらのレベルも高かったです。
角川書店は早くミスマルカをアニメ化して全国のお茶の間に自由の風を届けるといいんじゃないかなと思います。
神尾丈治「パンツブレイカーG」(一迅社文庫)
やった続き出たー! あらゆるパンツを消し飛ばす異能とそれにまつわる悲哀を真面目に描いたパンツブレイカーから半年、出ないと思ってた続編が出ました。
主人公と、ヒロインのくっつきそうでくっつかない距離感が最高。
あと妹が全ラノベを見渡してもなかなかに好感度の高い子で、妹ラノベとしても秀逸です。
至道流星「羽月莉音の帝国 10」(ガガガ文庫)
まさに至道流星にしか書けないであろうオンリーワンのライトノベルもとうとう完結してしまいました。
現代社会の世界観で会社設立に始まり、買収、バブル、建国を経て世界革命のために戦争まで起こしたその結果が圧倒的なスケールで描写されていました。
革命部に完敗、いや乾杯。
至道流星「大日本サムライガール 1」(星海社FICTIONS)
新しく始まった至道流星先生のシリーズ。
右翼ヒロインが日本を変えるためにアイドルとして活躍していく、これだけ書くとイロモノぽいかもしれませんが、著者お得意の会社経営に手を出したりで読者を楽しませてくれます。
ひまりん可愛いよひまりん。
淺沼広太「ぜんぶ彼女に「視」られてる?」(ファミ通文庫)
人の心が見える不思議少女八神さんがとにかく可愛い小説。私の脳内でライトノベル不思議少女四天王入りしました。
常人とはズレた思考をしてるけど、必死にコミュニケーションをとろうとしてる姿が小動物ぽくて素敵です。
「カロリーは美味しいです」は名言。
大樹連司「ボンクラーズ、ドントクライ」(ガガガ文庫)
主人公が脇役ポジションの青春物。
つまりヒロインにとってのヒーローは主人公ではなく、その親友だったのです。
途中から友情と嫉妬に板ばさみになり、ひしひしと増していく絶望感が感じられました。その感覚がたまらなかったです。
野村美月「ドレスな僕がやんごとなき方々の家庭教師様な件」(ファミ通文庫)
2012年ロリラノベ大賞をあげたい。
失踪した姉の代わりに女装してとある王家の家庭教師をするお話。メインヒロインの聖羅は9歳なのですが、年のわりに大人びて主人公を振り回すのに、ときおり見せる子供っぽい態度がとにかく可愛らしいのです。
主人公が王子様やイケメン騎士を振り回す魔性の女になっていくのも見所です。
神保静波「暗号少女が解読できない」(スーパーダッシュ文庫)
暗号好きのヒロインに絡まれるお話。
最初はヒロインがわざわざ暗号で絡んでくる困った子だなぁと思ってたのに、読めば読むほど可愛く見えてきてぐぬぬ……。
ラストの破壊力が凄かったので、是非続きが読みたいです。
岩井恭平「サイハテの救世主 PAPER I:破壊者」(角川スニーカー文庫)
稀によく見る沖縄推しラノベ。
天才少年が書いてしまった世界を終わらせるための論文をめぐってなんやかんや。
天才というものを、エンターテイメントとして読者が理解できるレベルで書いてくれているので読みやすかったです。
宇野朴人「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン」(電撃文庫)
異世界ファンタジー風戦記。
不利な状況を主人公の機知で引っくり返したりと戦記物としてよく書けているのですが、本作で真に注目するべきは1巻のラストで示されたこの物語の目指すべき未来。これを本当にやってくれるならすごい物になるのは疑いなく、期待で胸が高鳴ります。
瀬尾つかさ「スカイ・ワールド」(富士見ファンタジア文庫)
最近流行っている気がしているMMO風ラノベであり、近年新しく出た中では一番のお気に入りです。その理由は、たとえゲーム世界に閉じ込められても主人公(達)がゲームを楽しんでいるから。
クエストマニアだったりゲーム内のテキストをじっくり読んだりとか共感が湧きました。
嬉野秋彦「黒鋼の魔紋修復士 1」(ファミ通文庫)
ルビなしだと読みを覚えている人間が何人いるのか気になるタイトルの筆頭。(「くろのヒエラ・グラフィコス」が正解)
内容としては、輝かしい才能で神巫という要職に就いた主人公ヴァレリア嬢が活躍する話、ではなく高飛車でありながら世間知らずだったり抜けていたりするヴァレリア嬢がぐぬぬ…としてるのを楽しむラノベです。
Sじゃないはずなのに、目覚めてしまいそうで困ります。
芝村裕吏「マージナル・オペレーション 01」(星海社FICTIONS)
元ニートが就職したのは民間軍事会社であり、中央アジアでコンピュータの前から戦争します。
主人公の仕事っぷりがこれぞ指揮官という感じで、心を燃え立たせてくれました。
2巻の保父さんルートも良かったです。
七沢またり「死神を食べた少女」(エンターブレイン)
死神を食べて超常的な力を得てしまった少女が軍隊に志願して、大鎌をばっさばっさと振り回して敵兵の首を刈りまくります。
途中後世から見た視点があるのですが、それによると主人公サイドは歴史の敗北者であり、結末にどう向かっていくかという楽しみ方もできました。
終わってみれば、初心からまったくぶれずにやりたい放題しきったシェラには感服でした。
日向夏「薬屋のひとりごと」 (Ray Books)
中華風宮廷物。
人さらいで後宮に連れてこられた主人公が後宮の諸々の問題を解決します。
毒物に目を輝かせたり、普通の侍女とはズレたところにしか好奇心が向かない主人公の性格が好みでした。毛虫を見るような目で見られたいですね。
鳳乃一真「龍ヶ嬢七々々の埋蔵金 1」(ファミ通文庫)
巨大学園に隠された秘宝を名探偵や怪盗が探し出す冒険小説といった体裁で実にワクワクしながら読めました。始めは。
名探偵こと壱級天災ちゃんが可愛く見えてくるので、お宝探しはちょっとどうでも良くなってきた感があります。いや面白いんですけど!
来田志郎「勇者には勝てない」(電撃文庫)
勇者と魔王とその部下3人が現代に転生して、主人公が部下の一人。
それぞれわりと重い過去がありながら、現在を前向きに生きていこうという姿勢に好感が持てました。
第18回電撃小説大賞受賞作では一番のお気に入りでした。……でしたんですけど、これだけ続きが出てないんですよね。どうなってるの電撃文庫!
春日部タケル「俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している」(角川スニーカー文庫)
2012年電車の中で読まなければ良かった大賞。
ことある度に頭の中に強制的に選択肢が現れ、どちらがを選ばなければならない主人公。酷い選択肢ともっと酷い選択肢が織り成す展開に、リアルにフヒヒwwwという笑いが漏れ出てきて大変でした。
選ばれなかった選択肢のIFエンドが章の合間に挿入される構成はちょっと新鮮でした。
櫂末高彰「学校の外階段」(ファミ通文庫)
階段関係なしに良い青春物でした。
無気力だった主人公が様々な人達と触れ合ううちに、自分の気持ちに正直に向き合うようになるという地味だけど心温まる全3巻。あと毎回主人公の機転の利かせ方が燃えます。
階段シリーズの女神であるあやめ様は一瞬の登場でも光り輝いて見えました。
でもこれで階段シリーズ終了って嘘ですよね? だって監査委員長がなんか予言してたし!
田代裕彦「修羅場な俺と乙女禁猟区 3」(ファミ通文庫)
婚約者候補のうち1人以外から殺したいほど憎まれてるもしかするとハーレムラブコメも祝・完結。
話の構成からたぶんもっと書きたかったんだろうなあとも思いましたが、綺麗に終えられて良かったです。
ラストはこうなるかなって思ってた展開を中盤でやり終わったあとは、予想の一歩先の展開に続けてくれたさすが田代裕彦先生でした。
秋山瑞人「龍盤七朝 DRAGONBUSTER 02」(電撃文庫)
まさか続きが出るとは……。
もう見れないかもと思っていた、独特の中華風世界観で2人の剣士を取り巻く手に汗握る熱い闘いが拝めました。
……って、これ終わってないじゃないですか。次はいつまで待たなければいけないんですかやだー!
2011年以前刊行作品
伏見つかさ「俺の妹がこんなに可愛いわけがない 8」(電撃文庫)
シリーズ自体は2012年にも刊行されていますが、8巻が特に傑作だったのでこちらで。
8巻は全体的に黒猫のやばいくらいの可愛さに悶え転がっていましたが、一つ特筆すべきベストシーンがありました。それは、黒猫から沙織への「あのとき、二次会に誘ってくれて、ありがとう」。台詞に込められた黒猫の思いに心が洗われ、沙織から思わずもらい泣きしてしまいました。
竹井10日「東京皇帝☆北条恋歌 8」(角川スニーカー文庫)
シリーズ自体は2012年にも刊行されていますが、8巻が特に傑作だったのでこちらで。
8巻が凄いと聞いたので、2巻くらいで止まっていた続きを読んだのですが、その8巻が期待以上に素晴らしかったです。
展開の半分くらいは予想がつきましたが、四分の一は着地点でなく通過点だったことに驚き、残りの四分の一で心を折られました。どでかい死亡フラグが立ってた子がいたんですが、その子が健気に笑っているのを見るともうね……。
野村美月「“葵” ヒカルが地球にいたころ…… 1」(ファミ通文庫)
シリーズ自体は2012年にも刊行されていますが、1巻が特に好きなのでこちらで。
死んで幽霊となったヒカルが何故か見えてしまう主人公是光が、ヒカルの生前の女性関係を清算するべく奮闘するお話です。
最新刊のほうだと是光の周りにも女の気配が増えてきてそれはそれでいいのですが、やはり見所は是光とヒカルの友情ですよ。友情最高! もうこの二人だけいれば何もいらないと思ってしまいそうになるほどでした。
犬村小六「とある飛空士への夜想曲」(ガガガ文庫)
飛空士シリーズの第一作のその後のお話。
見るべきは大空のサムライと騎士の熱い戦い。刻々と悪くなっていく戦況に諦めずに戦い、そして空に散っていく飛空士達を見ていると胸が熱くなりました。
現在刊行中の新シリーズ誓約にも期待しています。