2020年1月の読書まとめ
1月は27冊でした。
印象に残った本
アニッキーブラッザー「禁断師弟でブレイクスルー ~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~ 1」(アース・スターノベル)
父親と比較されて腐ってた勇者の息子が魔王の幽霊に出会って成長していく物語。強くなっても全てがうまくいくとは限らず、物語がどう転がってくのか楽しみです。魔王が頼れるにーちゃんて感じで家族やヒロインよりも濃密な関係性で好きです。
阿樹翔「城なし城主の英雄譚 彼女のファイアボールが当たらない!」(GA文庫)
古代の遺産の城主を夢見る主人公がノーコン魔導士を仲間にして成長していきます。主人公もヒロインも好感度高くて早く城主になった姿を見たいですが、設定的にしばらくは無理そうでしょうか。
筑紫一明「竜と祭礼 ―魔法杖職人の見地から―」(GA文庫)
魔法杖に組み込まれた竜の心臓の謎を追う職人と少女の冒険。他の町を訪ねて過去の祭礼に触れるのとか、紀行文的な雰囲気があってとてもよかったです。
10年代で面白かったライトノベル10選
大したこと書いてないブログですが気が付いたら10年分くらい読書記録が溜まっていたので、2010年代の各年から面白かったラノベを一作選んで10選にまとめてみました。
どちらかといえば、読み終えた直後の評価よりも、今になって強く印象に残っているものを重視しています。なお他人におすすめできるかは一切考慮していません。
【2010年】朝田雅康「二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない」
交換日記の形式で綴られる、あるクラスの物語。最初はクラスメイト35人の名前が伏せられており、読み進めながら誰が誰なのか解き明かしていくというパズル要素も持った実験的な作品です。
ただし、それを差し引いても35人にキャラクター付けして群像劇させる作風は私の大好物で、とても楽しみながら読めました。そして35人描き分けたイラストレーターもすごい。
惜しむらくは活躍が多くなかった登場人物もいたことで、続刊が出ることに期待してたのですが、続刊どころかこの一冊のみしか作者の作品が出版されませんでした。別名でもいいので何かの形で執筆を続けてくれてたらいいのですが。
【2011年】川原礫「ソードアート・オンライン 7 マザーズ・ロザリオ」
SAOはマザーズ・ロザリオが最高傑作だと思ってる派です。剣と仮想の世界に現れた、最強の剣士の物語。多くは語るまい、読み終わった後はしばらく余韻に浸りきっていました。
その他の候補作。
・比嘉智康「神明解ろーどぐらす 5」
・櫂末高彰「夢魔さっちゃん、お邪魔します。 1」
・神尾丈治「パンツブレイカー」
・健速「六畳間の侵略者!? 7.5 白銀の姫と青き騎士 第一章」
【2012年】秋目人「乙女ゲーの攻略対象になりました…。」
一番迷ったのがこの年で、迷ったら知名度がなさそうなほうということで選びました。
今でこそ乙女ゲー転生物が山のように出ていますが、この作品はなろうで乙女ゲーが流行った最初期とほぼ同じ時期に、なろう経由でなく書き下ろしとして出版されたものです。ラノベの杜で調べたら乙女ゲーがタイトルに付いた最初の出版作品でした。
攻略対象として死亡ルートが満載の乙女ゲー世界に飛ばされてしまった主人公が、本来のゲームの主人公であるヒロインに攻略されることを回避しようと奮闘するお話です。主人公が男でヒロインのライバルキャラ複数と交流するのでギャルゲー的でもあります。
このヒロインのライバル達がいいキャラで、個人的にはレベル五の美声を持つ法条さんがお気に入りでした。あと騎士プは癒し。
ちなみに2巻で打ち切りですつらい。出る時代が違っていたらもうちょっと巻数出てたのかなぁと思います。
その他の候補作。
・遠藤浅蜊「魔法少女育成計画」
・小木君人「森の魔獣に花束を」
・かじいたかし「僕の妹は漢字が読める 5」
・渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 6」
・野崎まど「2」
・至道流星「羽月莉音の帝国 10」
【2013年】岡本タクヤ「僕の学園生活はまだ始まったばかりだ!」
岡本タクヤといえば、ファミ通文庫から傑作ボーイ・ミーツ・ガール小説「千の剣の舞う空に」とともに彗星の如く現れ、彗星の如く去っていってその後4年間音沙汰が無く、「武装中学生」のノベライズ作家として舞い戻り、2013年に5年半ぶりのオリジナル新作を出した、この時点では一部のコアなファンに人気の作家でした。なおその後ガガガ文庫に移って書いた「異世界修学旅行」がヒットして中堅作家として活躍しています。
「僕の学園生活はまだ始まったばかりだ!」は、そのクズさ故に友達を失いぼっちになった主人公高橋くんが腹黒ヒロイン佐藤さんと出会い、謎の部活高橋部を作って佐藤さんが学園の覇権を握るために暗躍するお話です。一人称垂れ流し文体と溢れんばかりに詰め込まれたネタのコラボレーションが素晴らしかったです。主人公とヒロインが両方ともダメさを醸し出しているのに、それをコメディに昇華してこちらが笑いの発作を引き起こされる最高の読書体験でした。ラーメン部と蕎麦部と講道館柔道と探偵と死体と忍者と高橋部が登場するライトノベルは「僕の学園生活はまだ始まったばかりだ!」だけ!
その他の候補作。
・十階堂一系「赤村崎葵子の分析はデタラメ」
・ウスバー「この世界がゲームだと俺だけが知っている 1」
・長谷川也「セクステット 白凪学園演劇部の過剰な日常」
【2014年】稲葉義明「ルガルギガム 上 黄昏の女神と廃墟の都」「ルガルギガム 下 運命の〈王〉と帰還の門」
上下巻でまとめて一作としてカウント。私的2010年代ベスト表紙です。
現代の高校生だった主人公が飛ばされた異世界風の古代メソポタミア。ニューヨークの警官、戦国時代の野武士、十字軍帰りの騎士。この世界には歴史上の様々な時代から飛ばされてきた人間が多数居て、もとの時代に帰るために、女神のヒロインや現地人と協力して廃都バビロンで遺跡荒しします。平野耕太の「ドリフターズ」に微妙に被っていますが、作者も言うように書こうとしているものは異なり、ドリフターズが歴史上の英雄の物語なのに対し、ルガルギガムはもとの時代ではただの人だった無名の英雄たちの物語なのです。
遺跡を攻略するにあたり、主人公もそれなりに強化されてますが、ベースは現代人なので戦闘は基本命懸けで熱いです。現代に帰りたい主人公と、それを素直に応援できないヒロインの関係性がもどかしくも応援してしまいます。そして何より世界観が素晴らしく、脇役のキャラクターにも背景が作りこまれてて、その世界に生きているという感覚がありました。本編ではその世界観の一部しか暗示されず、壮大な世界の一部を切り取った感じがして想像の幅が広がる物語でした。
その他の候補作。
・三枝零一「ウィザーズ・ブレイン VIII 落日の都 <下>」
・みかみてれん「勇者イサギの魔王譚1 夢の始まりを始めるために」
・浮世草子「最新のゲームは凄すぎだろ 2」
【2015年】桜山うす「コートボニー教授の時をかける花嫁」
新人賞受賞作の一作目「コートボニー教授の永続魔石」に続く二作目です。1巻の時点で傑作ファンタジーラノベで工学ラノベで人妻ラノベですが、2巻では傑作SFラノベと妹ラノベにもなります。
ヒロインで小人でロリババアでおまけに人妻の攻略不可能キャラ。そんなコートボニー教授に巻き込まれたり巻き込まれなかったりで、序盤から方向が定まらないのに、物語が進むにつれ永続魔石とは何だったのかと言わんばかりにさらに混沌としていくストーリーが最高です。膨大な設定の一部だけ漏れ出てきたみたいな描写がたまりません。
2巻の目玉は、25000年の未来から『現実世界』が侵略しに来るのをセーブ&ロードで対抗するという心が沸き立つタイムリープの共演。しかも主人公はタイムリープせずに対抗する側で、機転を生かして立ち回るのが痺れます。そして最強の妹ちゃんがぐうかわ。
万人におすすめではありませんが、平行世界の私には全力で読ませたい大傑作。私的2010年代最高傑作に選んでいいくらいの作品で、この10年で唯一アンケートを出した本でしたが、打ち切られました。打ち切られました。おのれ許さんぞオーバーラップ文庫……!!!
その他の候補作。
・比嘉智康「たまらん! メチャクチャな青春ラブコメに巻き込まれたけど、生まれてきてよかった。」
・宇野朴人「ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン VII」
・林トモアキ「ミスマルカ興国物語XII」
【2016年】城平京「雨の日も神様と相撲を」
これまで読んだカエル相撲小説の最高峰。そしてオンリーワン。
城平京は作家あるいは漫画原作者としてコンスタントに良作を出していますが、これもその例に漏れない面白さです。
相撲に愛されながらも体格に恵まれなかった少年が、引っ越した先の村の名士の娘から相撲を教えるよう乞われて巻き込まれた非日常の物語。
ボーイ・ミーツ・ガールとして素晴らしく、特に後半の話の転がり方はすごかったです。
その他の候補作。
・柳野かなた「最果てのパラディン I 死者の街の少年」
・割内タリサ「異世界迷宮の最深部を目指そう 6」
・あずまの章「堀川さんはがんばらない」
・村上凛「おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! 15 大学生編」
【2017年】比嘉智康「キミは一人じゃないじゃん、と僕の中の一人が言った」
「ギャルゴ!!!!!」「神明解ろーどぐらす」「たまらん!」などで琴線を直撃してきた比嘉智康の2年越しの新作が面白くないわけがない。
多重人格の少年少女が主人公の青春恋愛物。10年前に交流したクラスメイトの多重人格達は、再会したときには消えてしまっていた。そして消えてしまった人格の夢を叶えようとする裏に隠れた心情に胸熱です。比嘉智康作品を読んでて毎回思うのですが造語センスに光るものがあります。てきてよ。数ページ毎に涙腺が緩んで何気ない日常ですら愛おしかったです。
どうしたら比嘉智康がこの世界に評価されるのか。こんなにも面白い本を出す作家が現状丸2年も新刊を出していないなんてラノベ界の損失でしょう。もっともっと評価されてほしいです。
その他の候補作。
・和久井透夏「おめでとう、俺は美少女に進化した。」
・岩関昂道「アイドル稼業、はじめました!」
・わるいおとこ「俺の現実は恋愛ゲーム??かと思ったら命がけのゲームだった」
・ヤマグチノボル 「ゼロの使い魔22 ゼロの神話」
【2018年】赤木一広「無双系女騎士、なのでくっころは無い」
実をいうと読んだのは2019年です。こんなにも面白い作品ならもっと早く教えてほしかった。
謀略で窮地に陥った王子が一騎当千の二人の見習い女騎士に助けられて始まる物語。王子が二人に振り回されるのかと思ったら、朱に交われば赤くなり、死にかけながら千倍の敵に切り込んでいくバトルファンタジー。戦場を駆けるその姿は一騎当千悪鬼羅刹。戦闘描写は近年読んだ中でも屈指で、読んでいて心が沸き立ちました。
特に王子が可愛いんですよ。この物語は強い王子と強い女騎士と超強い女騎士二人が出てくるんですが、強い王子と強い女騎士の実力は同じくらいで、砦を攻めるのに女騎士が出来た壁の蹴り登りが出来なかった王子はすごい悔しがるんですよ。お可愛いこと……! ちなみにハーレム設定みたいなのに全員脳筋なのでラブコメ成分はないに等しいです。
こんなにも面白い物語を打ち切ったGAノベルは無能過ぎるのではと悲しみに暮れました。私は発売日に買ってなかった無能読者ですが。
Web版で完結してくれた作者には感謝しかないです。
その他の候補作。
・かばやきだれ「はぐるまどらいぶ。 1」
・宇野朴人「七つの魔剣が支配する」
・鴨野うどん「外れスキル【地図化(マッピング)】を手にした少年は最強パーティーとダンジョンに挑む 2」
【2019年】渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 14」
俺ガイルは問題を斜め下の方法で解決するのが象徴的となった6巻の評価も高いのですが、やはり最終巻がふさわしいだろうということで14巻を選びました。
たった一言が言えずに遠回りする彼彼女らのその不器用さが愛おしいです。終わるのが寂しくなりながらページを捲り、終盤では、こいつらっ、こいつらってごろごろ転がりながら読んでました。短編集はよ!
その他の候補作。
・伊藤ヒロ「異世界誕生 2006」
・汀こるもの「五位鷺の姫君、うるはしき男どもに憂ひたまふ 平安ロマンチカ」
・ざっぽん「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 4」
以上です。
気になる人がいれば各年で面白かった本のまとめもどうぞ。
2010年のまとめ
2011年のまとめ
2012年のまとめ
2013年のまとめ
2014年のまとめ
2015年のまとめ
2016年のまとめ
2017年のまとめ
2018年のまとめ
2019年のまとめ
次の10年もラノベ読み続けてたいです。
好きラノ2019年下期への投票
好きラノ2019年下期への投票用エントリです。
気力がないので良かった点とかは一言で。
一部は2019年のまとめ記事でもうちょっと感想書いてます。
「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (14)」 渡航 【19下ラノベ投票/9784094517811】
「俺の現実は恋愛ゲーム?? ~かと思ったら命がけのゲームだった~」 わるいおとこ 【19下ラノベ投票/9784047358188】
「禁断師弟でブレイクスルー ~勇者の息子が魔王の弟子で何が悪い~ 1」 アニッキーブラッザー 【19下ラノベ投票/9784803013689】
2019年に読んだライトノベルまとめ
2019年に読んだ小説は283冊でした。前年割れは防げたので2020年は300冊目指したいと思います。
例年の通り読んだ中で良かったものを挙げていきたいと思います。
2019年に読んだものなので、2018年以前の刊行作品もあります。明確な順位付けはありませんが上にあるほうが気持ちお気に入り度が高めです。
数の制限は考えずに選んだら、2019年は17選(シリーズ)になりました。
よろしくお願いします。
2019年17選
渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 12~14」(ガガガ文庫)
積んでた12巻から一気読みしましたが結果的に正解でした。
問題を斜め下の方法で解決する展開もここまで来たか。たった一言が言えずに遠回りする彼彼女らのその不器用さが愛おしいです。終わるのが寂しくなりながらページを捲り、終盤では、こいつらっ、こいつらってごろごろ転がりながら読んでました。これが2019年の最高傑作です。
短編集はよ。ちなみに私は雪ノ下さんちにご飯お呼ばれする話が読みたいです。
赤木一広「無双系女騎士、なのでくっころは無い」(GAノベル)
2018年刊行でしたが、イチオシしているレビューを見たので読みました。
謀略で窮地に陥った王子が一騎当千の二人の見習い女騎士に助けられて始まる物語。王子が二人に振り回されるのかと思ったら、朱に交われば赤くなり、死にかけながら千倍の敵に切り込んでいくバトルファンタジー。戦場を駆けるその姿は一騎当千悪鬼羅刹。戦闘描写は近年読んだ中でも屈指で、読んでいてとても楽しかったです。2018年に読んでたら2018年のベストラノベにしていたかもしれません。
特に王子が可愛いんですよ。この物語は強い王子と強い女騎士と超強い女騎士二人が出てくるんですが、強い王子と強い女騎士の実力は同じくらいで、砦を攻めるのに女騎士が出来た壁の蹴り登りが出来なかった王子はすごい悔しがるんですよ。お可愛いこと……!
こんなにも面白い物語を打ち切ったGAノベルは無能過ぎるのではと悲しみに暮れました。そして私は発売日に買ってなかった無能読者です。
Web版で完結してくれた作者さんありがとうございました!
伊藤ヒロ「異世界誕生 2006/2007」(講談社ラノベ文庫)
なろう転生系前夜の2006年、トラックにはねられて死んだ息子が遺した異世界転生のプロットで小説を書く母親と、壊れてしまった家族の物語。過去は変えられないし褒められるものでもないけれど救いのあるラストが心に来ました。個人的には伊藤ヒロ作品では魔法少女禁止法以来のクリーンヒットです。
続編の2007は、2006からどう続けるのか不安でしたが杞憂でした。2006が作者の物語なら2007は読者の物語で、時系列も勿論後ろなんですが、ここから2006に繋がってるのか!って展開がとてもよかったです。
汀こるもの「五位鷺の姫君、うるはしき男どもに憂ひたまふ 平安ロマンチカ」(メディアワークス文庫)
こういう本が出てくるからライトノベルはやめられない。(ただしMW文庫なのでライトノベルかどうかは人による)
平安仏教の限界に気づいた尼さんが菩薩になるため功徳を積み、現代語で世相をぶった切る現代平安絵巻。異能無き魔法で平安京を支配する陰陽師と遣唐使無き時代にインドを目指す鬼畜坊主との地獄三角関係。ジェンダーを明後日の方向にぶん投げたら地球一周して後頭部にぶち当たったみたいな読感でちょー面白かったです。
わるいおとこ「俺の現実は恋愛ゲーム?? ~かと思ったら命がけのゲームだった~」(ファミ通文庫)
レーベル消滅に巻き込まれて打ち切りになった傑作の復活。
現実のようなゲームに放り込まれた主人公がヒロインに関わる謎を暴いて攻略していきます。何と言ってもメインヒロイン兼たぶんラスボスが可愛すぎます。Web版だとこれからもっと可愛くなるしね。はぁー雑に人生とか弄ばれたい。
一度打ち切られた作品がもう一度打ち切られるなんて悲しいことにならないようにほんとに頼みますよファミ通文庫。これが売れなかったらレーベル畳むくらいの気持ちで売ってほしいです。
ざっぽん「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました 3~5」(角川スニーカー文庫)
私の中では現代最高のバカップルラノベの一角です。
呼吸するようにいちゃついておきながら本人達は控えめのつもりだったり、二人の間だけで流行っているコミュニケーションがあったり、はぁ~最高!
神が万民の闘争を奨励するような世界観の謎解きも結構好みなのですが、でもやっぱりいちゃついてるのを見るだけで心が幸せに包まれます。
刑部大輔「青春敗者ぼっち野郎、金髪尻軽ギャルのお気に入りになる 1~2」(角川スニーカー文庫)
私の中では真の仲間と並んで現代最高のバカップルラノベの一角です。
ぼっちがギャルに好かれて戸惑うラブコメ。ヒロインの距離の詰め方がアグレッシブでニヤニヤしてしまいます。
さらにすごいのが2巻で、ただの友達でも恋人でもない「ラブラブハグ友達」というパワーワードが強すぎます。1巻の3倍くらいはいちゃついてました。
すごく好きなシリーズなのですが、2巻の刊行からちょっと期間が空いていて不安です。無事に続き出てほしいです。
林トモアキ「ヒマワリ:unUtopial World 8」(角川スニーカー文庫)
私の人生で読んだ最高傑作のラノベの一つ、戦闘城塞マスラヲの続編の続編、の完結。
完全無欠のハッピーエンドではないけれど、家族も、故郷も、未来も失っても終わらなかったヒマワリの戦いはここで一旦終わります。そして物語はミスマルカへと続くのです。第3部まだかよ!?って気持ちで溢れるラストでした。
支援BIS「迷宮の王 1 ミノタウロスの咆哮」(レジェンドノベルス)
ほとんどのなろう小説は書籍化されてから読むのですが、これは書籍化前に読んでいた数少ないものの一つです。なろうで読んだときはすげーおもしれーなと思いましたが、もう一度読んでもやっぱり面白かったです。
迷宮に生まれ落ちた一匹のミノタウロスの闘いの軌跡。強敵に敬意を払い、ストイックに強さを求めていく姿勢がかっこよいのです。
三嶋与夢「乙女ゲー世界はモブに厳しい世界です 1~4」(GCノベルズ)
同作者のセブンスが面白かったので買ったらこれも面白かったです。
乙女ゲー世界のモブ(男)に転生して婚活がんばるけど女尊男卑世界でつらたん、みたいなお話です。乙女ゲーのヒーロー達と決闘するときなどに主人公の性根の悪さがにじみ出ててとてもよいです。
個人的には、この世界観で予想していた以上の、身分違いの恋と友情という王道的なテーマが読めてとても満足でした。
3巻で恋愛関係も一応決着付きましたが、以降も続いてくれて嬉しいです。
黒留ハガネ「世界の闇と戦う秘密結社が無いから作った(半ギレ) 1~2」(オーバーラップ文庫)
超能力を手に入れながらも平凡な日常しか送れなくて絶望した主人公が脱サラして、世界の闇とそれと戦う秘密結社総帥を兼任して、マッチポンプで世界を大いに盛り上げようとする話。読んでいて箱庭を作っていくような楽しさを感じられてとてもよかったです。 2巻になるとちょっとひねりを利かせてきますが根底のテーマは変わりません。俺が! 俺自身が! 超能力秘密結社だッ!
このシリーズが打ち切りとかおかしくないですか(半ギレ)
佐伯さん「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」(GA文庫)
これはいいものです。すごくいいものです。お隣さんとの距離が縮まっていくさまが微笑ましい、もといニヤニヤが止まりません。まだ1巻でこれからもまた縮まることを考えたら期待値爆上げです。
常磐くじら「エリスの聖杯」(GAノベル)
貧乏貴族の令嬢のところに十年前に処刑されたはずの悪役令嬢の幽霊が現れて復讐の手伝いをさせられ、そこから始まる宮廷陰謀劇。対抗する側も処刑の理由こそ冤罪なものの、実は善人とかではなくモノホンの悪役令嬢をやっていただけあって苛烈です。そして仄かな百合の香りだ!(私の百合センサーは女の子が二人いるだけで反応するガバガバさなので注意)
裕夢「千歳くんはラムネ瓶のなか」(ガガガ文庫)
陽キャガチ勢がスクールカーストなんかに振り回されてんじゃねーよとクラスの治安を守るお話。主人公が神呼ばわりされてるのである意味神ラノベですが、内容のほうも神ラノベ狙えると思います。ポスト友崎くんを狙えるポテンシャルあります。
小林さん「ツンデレ悪役令嬢リーゼロッテと実況の遠藤くんと解説の小林さん Disc1+2」(カドカワBOOKS)
乙女ゲーの登場人物に、ゲームを遊んでいる現実の人間の声が聞こえてくるラブコメ。ゲーム側で2組と現実側で1組のカップルが出来てて読んでいてにっこりです。
かわゆいのうかわゆいのうからの不穏な雰囲気からのまさかの展開には吹きました。2巻で綺麗にまとまったいい話でした。
2019年12月の読書まとめ
12月は29冊でした。
印象に残った本
串木野たんぼ「七代勇者は謝れない」(GA文庫)
主人公が聖剣を抜いたはずなのに勇者の座はヒロインに奪われ、紆余曲折あってぶつかり合いながら魔王討伐の旅へ。主人公もヒロインも基本善人だけど名誉が絡むとクズみが増すのが好きです。それと主人公の伝聞でのみ語られる妹ちゃんマジ天使でした。
渡航「やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 14」(ガガガ文庫)
積んでた12巻から一気読みしましたが結果的に正解でした。たった一言が言えずに遠回りする彼らのその不器用さが愛おしいです。終わるのが寂しくなりながらページを捲り、終盤では、こいつらっ、こいつらってごろごろ転がりながら読んでました。これが今年の最高傑作です。短編集はよ。ちなみに私は雪ノ下さんちにご飯お呼ばれする話が読みたいです。
小東のら「私はサキュバスじゃありません 1」(ヒーロー文庫)
記憶を失って自分を真人間だと思い込んでいるサキュバスが、かつての仲間から性豪扱いされて愕然とするほのぼのエロコメ。やりたい放題してる過去と現在のギャップが笑えます。2巻ではセッ○スしないと出られない部屋とかでてきますが健全なほのぼのエロコメです><
こまつれい 「101メートル離れた恋」(講談社ラノベ文庫)
男子高校生が気づいたら美少女オートマタの意識として目覚め、体を売る日々に心を擦り減らしていた中で出会ったのは友達以上の女の子でした。TSではあるが百合でもあると思います。煙草の使い方とか一人称の変化とか好きです。
小川一水「天冥の標X 青葉よ、豊かなれ PART3」(ハヤカワ文庫JA)
完結。植民地で反乱してた1巻の頃から見ると宇宙を股にかけるすごいスケールになりました。そしてこのスケールになってテーマが性愛SFに回帰してくるのこのシリーズらしくて好きです。欲を言えばエピローグの後の話ももうちょっと読みたかったなと思いました。
紙城境介「最強カップルのイチャイチャVRMMOライフ 温泉旅行編:繋いだ手だけがここにある」(ダッシュエックス文庫)
初手同棲済みから期待通りの出来でした。自分達がカップルでないと思い込んでいる先輩後輩がいちゃつきながらゲームを楽しみます。カップルでない事情もありますが、十分に発達した関係はカップルと区別がつかないのです。
三田千恵 「天才少女Aと告白するノベルゲーム」(ファミ通文庫)
ゲーム制作部に入った主人公がかつてのゲーム部で何があったかを紐解く青春ミステリ。読者にわかりやすい謎を提示する裏でさり気なく散りばめた伏線の回収が鮮やかでした。
2019年11月の読書まとめ
2019年10月の読書まとめ
10月は20冊でした。
印象に残った本
ぶんころり「田中~年齢イコール彼女いない歴の魔法使い~ 9」(GCノベルズ)
ソフィアちゃんの荒ぶるLUCはどこに向かっているのか・・・まさか。と思っていたら田中さんが回収してくれた上に(さすが主人公)どんでん返しを2回くらいくらってとても面白い巻でした。
わるいおとこ「俺の現実は恋愛ゲーム?? ~かと思ったら命がけのゲームだった~」(ファミ通文庫)
レーベル消滅に巻き込まれて打ち切りになった傑作の復活。現実のようなゲームに放り込まれた主人公がヒロインに関わる謎を暴いて攻略していきます。何と言ってもメインヒロイン兼たぶんラスボスが可愛すぎます。Web版だとこれからもっと可愛くなるしね。はー雑に人生とか弄ばれたいです。一度打ち切られた作品がもう一度打ち切られるなんて悲しいことにならないようにほんとに頼みますよファミ通文庫。これが売れなかったらレーベル畳むくらいの気持ちで売ってほしいです。
森月真冬「漂流英雄 エコー・ザ・クラスタ」(ダッシュエックス文庫)
宇宙空間で漂流することになった敵軍同士の男女の帰還までの交流。オチは想像つきましたが、揺れ動く二人の心情が一冊にまとまっていてとてもよかったです。