たかべーの書庫

ラノベの読書記録。

2016年の読書まとめ

2016年に読んだ小説は319冊でした。
例年の通り読んだ本の中で良かったものを挙げていきたいと思います。
特に数の制限を設けずに選びましたが今年は30選とキリのよい数字になりました。2016年に読んだものなので、2015年以前の刊行作品もあります。明確な順位付けはありません。よろしくお願いします。

城平京「雨の日も神様と相撲を」 (講談社タイガ)


これまで読んだカエル相撲小説の最高峰。そしてオンリーワン。
相撲に愛されながらも体格に恵まれなかった少年が、引っ越した先の村の名士の娘から相撲を教えるよう乞われて巻き込まれた非日常の物語。
ボーイ・ミーツ・ガールとして素晴らしく、特に後半の話の転がり方はすごかったです。

柳野かなた最果てのパラディン I 死者の街の少年」 (オーバーラップ文庫)


これはまた凄いの来たなと思わせてくれたヒロイックファンタジー
廃墟の都市で三人の不死者に育てられた主人公はやがて神様の導きとともに旅立ちます。彼を育ててくれた家族との絆に涙腺が緩みました。
2巻以降では英雄譚として語り継がれるような冒険を乗り越えていく熱い物語になるのですが、前世で失敗した主人公が再出発する1巻が個人的にはいちばん好きです。

割内タリサ「異世界迷宮の最深部を目指そう 6」 (オーバーラップ文庫)


ヒロイン全員が発狂しそうという序盤の状況はあまり好転せずというか悪化しつつ中盤へ。
こんなタイトルなのに迷宮外の舞踏大会で盛り上がり過ぎじゃないですか。異世界でできた親友との闘いは、まだ70層あるのにラストバトルかってくらい熱い決勝戦でした。
8巻もラスボスと思わされるような敵キャラとのバトルで盛り上がり、ますます今後が楽しみになっているシリーズです。

東雲佑「図書館ドラゴンは火を吹かない」(宝島社)


魔法使いの少年とドラゴンの少女の冒険譚。
童話的な雰囲気で語られる彼らの旅の足跡が心地良くて、残りページを見ながら読み終わるのが惜しいと思ってました。
続く雰囲気で終わってたので、そろそろ続きが出てくれていいんですよ。

あずまの章「堀川さんはがんばらない」(角川ビーンズ文庫


私的2016年ベスト百合ラノベ
無気力系女子が活動熱心じゃないと聞きつけた弓道部に入部しての部活モノ。ヒーローはいますが弓道バカなので実質百合です。
幼馴染が女嫌いなのに主人公にだけ世話を焼く子で、彼女との関係性が素晴らしいのです。そんな二人の間にするりと入ってくるクラスメイトも高ポイント。

秋目人「非モテなオレが5日間でヒロインと出会うまで」(電撃文庫


秋目人は乙女ゲー転生物全盛の現在からすると時代をやや先取りしたような作品をかつて出していて、活動の場をMW文庫に移してしまってから寂しかったのですが、久々に電撃に戻ってきたのを読んだら最高でした。
未来を予測できるクソゲー感溢れる恋愛ゲームアプリを使ってのラブコメが面白かったです。いくら謝られようが許すことができないヒロインの頑固さもお気に入りです。
これはこれで是非ともシリーズ化してほしいですが、乙女ゲーの続きもまだですか……?

高村透「クロバンス戦記 ブラッディ・ビスカラ」(電撃文庫


高村透も、デビュー作は気が狂ったようなノリの作品を電撃で出していたのですが、MW文庫メインになってしまって久しぶりに電撃に戻ってきてくれて嬉しかったです。
対外戦争で疲弊した失敗国家と分裂寸前の革命勢力が争うフランス革命をモデルにしたガチの市民革命ラノべ。題名の通り当然血塗られてもいます。
歴史が破滅への道を進んでいく感じが素晴らしくて、やっぱり電撃の高村透は最高でした。

至道流星「破滅軍師の賭博戦記 幼き女王は賽を投げる」(ノベルゼロ)


酒とギャンブルに溺れた主人公と、戴冠早々隣国全てに宣戦布告する女王の戦記物。
流石至道流星キャラといった感じで、どんなに負けが込もうとも最後に勝てばいいという博打打ちの思考で戦う様がたまりません。
この作品に限らずノベルゼロはちょくちょく面白そうな作品を出しているのですが、完結させられる体力があるのか不安に感じるので無事に続き出してほしいです。

月本一「引退英雄と行くダンジョンツアー」 (ファミ通文庫)


魔王を倒し、世界は平和になったけど、片足を無くして故郷に帰ったら家族も死んでいた、でも生きていくためには働かないといけないよね、ということで零細ダンジョンツアー会社でお仕事する話です。
重めな背景はさておき、前向きなストーリーでよくまとまっていて面白かったです。
月本一はデビュー作以来一度も2巻出したことがないので、ここで是非シリーズ化してほしいです。

くま太郎「嫌われ者始めました 〜転生リーマンの領地運営物語〜」 (ファミ通文庫)


ゲームの嫌われ者に転生しての内政モノ。
ヒロインに嫌われるのはゾクゾクしてくるので、もっともっと嫌われてほしいのですが、2巻は領地運営メインになっていてメインヒロインとの接点が少なくなって残念でした。とはいえ内政モノとしても十分面白いのですが。

はるおかりの「後宮錦華伝 予言された花嫁は極彩色の謎をほどく」 (コバルト文庫)


中華ファンタジー恋愛ミステリ。
宮廷陰謀劇の常か不幸勢が跋扈するこのシリーズですが、この3巻は比較的不幸な人間が少なめかもしれません。
すれ違うヒーローとヒロインの心情が実に私好みで、シリーズでも一番面白かったです。

佐藤ケイ「剣と炎のディアスフェルド」(電撃文庫


弟は国を守り、兄は敵国で人質となる、二つの国で別の道を歩むことになった兄弟の視点で話が進んでいく英雄譚。
兄弟の絆の強さに胸熱になりつつ、不穏な行く末が気になります。佐藤ケイすれ違い死大好きですからね。
あと主人公両方に髭が生えてるのが地味にポイント高いです。

園生凪「友達いらない同盟」 (講談社ラノベ文庫)


周囲から浮いてる主人公とかヒロインとかの青春物。
ヒロインから持ちかけられた友達でない同盟という不思議な関係を結びます。
主人公の友達の定義が厳しいところとかも良いのですが、とにかく最終章の流れが素晴らしくて良かったです。

相沢沙呼小説の神様」 (講談社タイガ)


売れない学生作家が人気作家のヒロインと合作で小説を書く青春小説。
作者の心が投影されたのか、売れない小説家の心の叫びが描かれていて良かったです。
あと妹ちゃんは天使だと思います。

唐澤和希「転生少女の履歴書 1」 (ヒーロー文庫)


極貧集落に転生した主人公の波乱万丈の物語。
主人公が前世知識を活かして実験したり商売したりも面白いのですが、オネエなコウお母さんがマジイケメンでときめきました。

仙波ユウスケ「リア充になれない俺は革命家の同志になりました 1」 (講談社ラノベ文庫)


レフトノベルラブコメ
階級社会による不正義を許せないヒロインの高潔な精神の描写が良かったです。胸に来る台詞を言ってくれるのです。
2巻で終わりみたいなのが残念でした。

屋久ユウキ弱キャラ友崎くん Lv.1」(ガガガ文庫


人生はクソゲーだと思ってる主人公が人生ガチ勢のヒロインのレクチャーを受けるライフハックラノベ
いかに人生を攻略するのかということが巧みに言語化されています。
ガガガらしいスクールカーストをうまく絡めた良い青春ラノベでした。

さがら総渡航(Speakeasy)「クズと金貨のクオリディア」(ダッシュエックス文庫


クオリディアシリーズの前日譚。
面倒なヒロインに絡まれながら高校生の借金取り立て。
ヒロインのクズさに大丈夫なのかと思いながら読みましたが、思った以上に読後感が良くて驚きました。

夢月なぞる「ダークな乙女ゲーム世界で命を狙われてます 5」(アルファポリス


祝・完結。追いかけている乙女ゲー転生物の中では一番好きなシリーズでした。
乙女ゲーらしく本作にもヒーローが何人かいるのですが、紅原様というキャラクター紹介なら3,4番目くらいの位置に居そうな関西弁のにーちゃんが実にナイスガイで、主人公との絡みがとても良かったのです。
最終巻自体はやや駆け足にも感じましたが、期待していたものは読めたので十分です。

村上凛おまえをオタクにしてやるから、俺をリア充にしてくれ! 15 大学生編」(富士見ファンタジア文庫


祝・ニ度目の完結。脳が溶けました。
ぼっち描写に心臓を握り潰されたのも今は昔、大学生編になってからはリア充爆発ラノベとして有終の美を飾ってくれました。ありがとうございました。
追加で個別エンドとか書いてくれてもいいんですよ?

綾崎隼「君と時計と雛の嘘 第四幕」(講談社タイガ


祝・完結。手堅くまとまった良いタイムリープ物でした。
死ぬはずの人を救うためにタイムリープを繰り返すのですが、ループする度に世界から大切な人の存在が消えるという洒落にならない代償がポイント。
新たな情報が明かされる度にこう来るかと唸らされました。

森田季節「不戦無敵の影殺師 7」 (ガガガ文庫)


祝・完結。毎巻違うテーマで楽しませてくれるシリーズでした。
主役二人よりも滝ヶ峰さんの変わりっぷりが印象に残った気がするけど、ともあれ末永く爆発してください。後日談も良かったです。
森田季節でアニメ化するならこれかなと思ってたんですが、結局何もなかったのだけが心残りです。

青崎有吾「アンデッドガール・マーダーファルス 2」(講談社タイガ


19世紀末欧州、吸血鬼や人造人間が存在する世界で怪奇事件専門の探偵の事件簿。
こういうのが見たかったんでしょと言わんばかりのホームズvsルパンに怪物共がかち込んで面白くならないわけがないのです。
いま最も講談社タイガで期待しているシリーズです。

葵せきなゲーマーズ!6 ぼっちゲーマーと告白チェインコンボ」 (ファンタジア文庫)


このシリーズに求めていたものを読めました。
こいつら全員面倒くさいと言いたくなる混沌とした人間関係を楽しみつつもマンネリ感を感じつつあったのですが、この巻で連続クリティカルで吹き飛ばしてくれました。最高です。

椎田十三いでおろーぐ! 5」(電撃文庫


オタリアと合わせて個人的なリア充爆発ラノベの二大巨頭だったのですが、オタリアが完結したいま本シリーズがリア充爆発ラノベの最前線です。
恋愛至上主義打倒の活動の裏でラブコメしているのですが、巻を重ねるごとに面白くなってきています。
5巻は自己批判が面白すぎたのと、敵である生徒会長がこれまで誰も突っ込めなかったことを言ってくれたのが好評価です。

長月達平Re:ゼロから始める異世界生活 6」(MF文庫J


個人的にはシリーズベストの巻。
まだだ、まだ終わらんよとばかりに絶望の底からさらに突き落とされるスバル君の叫び。それでも信じてくれるレムりんは天使に見えました。

白鳥士郎りゅうおうのおしごと! 2」 (GA文庫)


小学生は最高だぜ!頂きました。
ヒロインの輝ける才能がライバルが現れたことでさらに輝くようになったこの巻がシリーズ中で一番好きです。

アサウラ「英雄都市のバカども 3 〜アルコ・ホール三番街の何でも屋〜」(ファンタジア文庫)


いくら何でも最終巻が過去編メインって……。
料理ファンタジーとしても全裸ファンタジーとしても素晴らしかったです。アサウラは変態描かせたら現代最高の作家の一人だと思うので、このまま続刊が出ないのは残念なばかりです。

鏡遊「かませ系ヒロインルートの結末を俺は知らない 2 恋愛フラグ10秒後」 (角川スニーカー文庫)


幼馴染をこじらせたヒロインが魅力的なシリーズで、2巻は1巻よりも混迷してて面白かったのに続きが出ませんでした。
最後に一人を選ぶのがラブコメなんでしょ!

南野海風「俺が悪役令嬢になって汚名を返上するまで 2」


乙女ゲー転生物ですが、主人公の人格が男なのと、悪役令嬢の人格が別の身体に入って登場するというのも面白いパターンでした。
底辺スタートだと上に昇るしかないのでカタルシスあるストーリーだったのですが、2巻が妙にすっきりしたラストだなと思って帯を見返したら完結の文字に愕然としました。転生の謎が明かされてないし、だいたいタイトルからして汚名を返上するまでなのに!

終わりに

度重なる打ち切りは例年通り出版社へのヘイトを高めてくれました。
読書量は前年よりもさらに減って読みたいものすら消化しきれなくなってきました。
今年こそは読書量増やしたいなと思いつつ、素晴らしい物語に出会えることを期待してます。